自己肯定感がブームになっています。
「自己肯定感を高めよう」などと謳っている書籍を本屋で見かけることも多いです。
「自己肯定感は低いのはダメなこと」と思っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、自己肯定感ブームに流れされることなく自分らしく生きる方法を提案します。
1.果たして自己肯定感はブームなのか?
自己肯定感がブームだと言われますが、なぜそのようなことが言われるのでしょうか?
1-1.自己肯定感ブームは2019年頃から始まった
近年「自己肯定感」という言葉がタイトルになっている本が多く出版されています。
そのほとんどが自己肯定感を「上げる」「高める」といったタイトルです。
それだけ人々が自己肯定感に関して何らかの悩みを持っているということが伺え、自己肯定感ブームが起きているといえます。
「自己肯定感」という言葉は、2019年にある女性雑誌に自己肯定感についての記事が掲載されて以来、テレビや書籍でもこの言葉が飛び交うようになりました。
米の大手ショッピングサイトAmazonのホームページで「自己肯定感」と検索した時に、上位10位に表示された書籍の約7割が2019〜2021年にかけて出版された本でした。
このことからも、自己肯定感ブームは2019年頃からブームになったのではないかと考えられます。
1-2.自己肯定感ブームが起きた社会的背景とは?

自己肯定感ブームが起きた背景には以下のようなことがあると考えられます。
1-2-1.SNSの普及による自分と他者との比較
昨今はtwitterやFacebookなどのSNSにおいて他人の日常生活などの様子を簡単に知ることができます。
充実した生活をアピールするような写真や、綺麗に着飾った写真を投稿している人をSNSで見たことがある人もいるでしょう。
そのような投稿を見た人のなかには、他者の投稿を見ることで劣等感を感じてしまい「どうせ私なんて…」という感情を抱いてしまう人もいます。
そして自分は他人よりも劣っているという気持ちによって自己肯定感が低いと認識するのです。
そのことによって、自己肯定感を高めて人生をもっとよくしたいと考える人が増えてきました。

1-2-2.ライフスタイルの多様化や社会環境の変化
近年は男女の未婚率が上昇しています。
2015年のデータによると男性の未婚率は23.37%、女性の未婚率は14.06%です。
引用:国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集(2021)
女性の社会進出とも相まって、結婚にこだわらない人が増加したことも離婚率上昇の要因の一つといえるでしょう。
その一方で「結婚はするべき」といった考えを持っている人も一定数存在するため、結婚にこだわらない人は自らの生き方を肯定したいと考える傾向にあります。
また、2020年に大流行した新型コロナウイルスの蔓延により、働き方の変化を余儀なくされた人が多く存在し、ライフスタイルにも大きな変化が起きました。
このように、自分の人生の生き方を肯定したいと思う人や、ライフスタイルの転換点に立った時に自己肯定感を高めたいと思う人が増えています。

1-2-3.家庭と仕事の両立に対する悩み
特に女性に多いのが、仕事をしながら家庭を両立させたいと思っている人です。
女性雑誌などでは、家庭生活も仕事も充実している女性像が描かれており、にこやかに毎日の生活を送っている女性の写真なども同時に掲載されています。
そのような写真や記事を見ることで「仕事も家庭生活も充実させないといけない」といったある種の強迫観念にかられてしまい、自己嫌悪に陥ることもあります。

2.自己肯定感が低いことはダメなこと?

自己肯定感について語られるときは自己肯定感を「上げること」や「高めること」に焦点が当てられがちです。
自己肯定感が低いことはダメなことなのでしょうか?
2-1.自己肯定感の高低よりも大切なこと
自己肯定感が低いと認識している人の多くは自己肯定感を「上げたい」「高めたい」と思っていることでしょう。
しかし、人はいきなり前向きになったり、性格を変えることが難しいように、自己肯定感をすぐに高めることは難しいです。
まず大切なのは、今の自分を受け入れ納得すること。
そして、自分にとっての問題が何なのかを明確にし、その問題に対する解決のための道筋を考えることです。
「なぜ自分は自己肯定感が低いと思うのか」
「どういうプロセスでそのように思うようになったのか」
「普段はどういう考え方の癖があるのか」
「自分の考え方を変えるにはどうしたらいいのか」
これを心理学では「メタ認知」といいます。
メタ認知とは、人が自らの情報処理活動をモニターし、制御するためのもので、自らの認知ないし活動そのものを自覚することであると考えられている。
引用:磨こう!子ども自身の「自己評価活動」能力を

自己肯定感とは自己を「肯定」する、すなわち「ありのままの自分をポジティブに受け入れること」です。
自己肯定感とは「自分はありのままでいい、生きているだけで価値がある、という感覚」のことです。
引用:「自己肯定感低めの人」のための本
今の自分を肯定的に受け入れられたとき、自信や自尊心が高いかどうか、ポジティブであるかどうかは問題にならず、自己肯定感は低くなりません。
「ありのままの自分でいい」という感覚こそが重要なのです。

2-2.幸福度を高めるために
確かに自己肯定感が高いことは望ましいことではありますが、これまでみてきたように自己肯定感が低いからといって、劣等感を感じる必要はありません。
ただ一方で、自己肯定感を高めようとして「自分はこうあるべき」という観念を持つことはかえって、心理的な負荷を増やすことにもなりかねません。
自信が持てるなにかをつくらないといけないとか、ネガティブ思考じゃダメだとか、そういう「べき論」のようになっていくと余計に心は苦しくなります。
引用:「自己肯定感低めの人」のための本
大事なのは「ありのままの自分でいい」と受け入れ自分自身に満足し、今の人生に価値を見出すことです。
そのことは幸福度を上げることにも繋がります。
イギリスONSが公表した 2019 年までのダッシュボードを見ると、生活満足度と「人生の 価値」や「幸福度」は概ね生活満足度と同様の動きをしていることがみてとれる。
引用:Well-being に関する指標群
つまり、自己肯定感の高低に関係なく、人生の幸福度を上げることができるのです。

3.他人と比較せずに自分軸を持って生きよう

3-1.他人と比較する必要はない
上でも見たように、昨今はSNSをはじめとして他者と比較する機会が増えました。
しかし、他者と自分を比較して劣等感を感じる必要はないのです。
他者と比較するのではなく、自分の今の状況に納得することが大事なのです。
「人は人、自分は自分」という思いで自分軸を持って生きましょう。
自己肯定感の高低よりも、自分の中の理想と現実との折り合いをどうつけていくかの方が大事です。
「自分軸で生きる」ことは、自分の心の声に従って生きるということです。
引用:敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法
人生の主役は他でもないあなた自身です。
人生は1人では生きていけませんが、他者の生き方に自分を合わせる必要はありません。
あなた自身が楽だと思う生き方を選択すればよいのです。
そのためには、他者との適切な距離感が大事です。
共依存関係から抜け出し、自分自身を浄化し、様々な苦しい人間関係から自由になる為には、他者との適切な距離を保ち、「自分自身の人生を生きる」と自分に約束することが大切です。
引用:自分を浄化すると幸せになれる 人生のステージを高めればすべてうまくいく



3-2.自分の良い面も悪い面も受け入れよう
誰にでも良い面と悪い面があります。
良い点も悪い点も含めた自分の現状に納得し、どんな自分でも受け入れて愛する姿勢が大事です。
自分を愛することができるようになると自分を幸せにできますし、自分を幸せにできると、周囲の人間も幸せにできます。
このような幸せの循環によって、自己肯定感は自ずと高まるものです。

4. まとめ
自己肯定感ブームによって自分自身を見つめ直し、高めようとすることは素晴らしいことです。
ただ、自己肯定感ブームに流されてしまい本来の自分が目指すべき方向を見失わないようにしましょう。
そのためには、他者と比較することなく自分軸をしっかりもって生き、自分にとっては何が必要で、何が不要であるかを自分自身で考える習慣を身につけることが重要です。