「定時に帰りたいのに、帰りにくい…」
「飲み会に行かないといけない雰囲気…」
「みんなが働いているから、有休がとりづらい…」
職場でこのような経験をして、周囲と合わせるのに疲れている方はいらっしゃいませんか?
このように、職場や組織において、周囲の多くの意見に合わせ、同じように行動をすることを「同調圧力」と呼びます。
リサーチサイト「しらべぇ」では、このような「同調圧力を感じたことがあるか」を、全国の10~60代、男女1,721名に調査を行ったところ、以下のように約30%、3人に1人は、「同調圧力を感じたことがある」と回答しました。

引用:Sirabee とにかくウザいしムカつく! 同調圧力を感じた瞬間4選
人間関係が良くも悪くも見え隠れする「職場」では、自然と働き方を強要されるシーンが多く、同調圧力を感じやすい人がいます。
プライベートでは「みんながやっていることを、やっていない」だけで不思議がられます。

引用:ビズパーク みんな違うのにどうして?職場の同調圧力の事例と克服法5選
周囲と合わせて生きていくことはとても楽です。
しかし、時には自分の意見を言わなくてはいけない場面や、周囲に流されたくない場面もありますよね?
そこで今回は、大事な場面で、自分の意見を言えるようになるために「同調圧力に屈しない方法」を5つお伝えします!
同調圧力に屈しないための考え方が分かると、自分の思っていることや、考えていることを、周囲の圧力を気にせずに言えるようになってきますよ。
もうめげない!同調圧力に屈しない人になる5つの方法!
同調圧力に屈しない人になる方法は5つあります。
- 自己洞察力を高める
- 自信を持つ
- 理解者を探す
- 自分を「キャラクター」化する
- 同調した回数を数える
詳しく見ていきましょう。
1-1.自己洞察力を高める
自己洞察力を高めて、自分の考えを明確にできるようになりましょう。
自分の考えを明確に持っていれば、周囲に流されそうになった時に、いつでも「自分の意見」に戻って、周囲に流されにくくなります。
自己洞察力とは「自分自身の体調や、精神状態をどれだけ把握しているか」ということです。
では一体、自己考察力はどうやって高めればいいのか。
精神科医の樺沢紫苑氏によれば、自己洞察力は「書く」ことで鍛えられるといいます。
同氏は、今日あった楽しい出来事を、日記やSNSに書くトレーニングを推奨しており、SNSに投稿することにより、他人が見たり、他人に批判されたりするのでは?という緊張感が、アウトプットの効果を高めるのです。
毎日続けることで、自分の考えを表現するスキルがあがります。
書いたことを見返したときに、自分の得意なこと、好きなことを客観視できるようになり、結果的に「自己洞察力」が高まるのです。
また、「書く」という行為は、大事な会議やプロジェクトの賛成・反対を決める場でも有効的!
人間は、会議などの重い空気が漂うようなシーンでは、多数派の意見や周囲の意見に合わせたくなる心理が働いてしまいます。
その心理を証明する有名な実験があり、それはスワースモア大学のソロモン・アッシュが発表した「アッシュの同調実験」というものです。
アッシュの同調実験が証明したのは、問いに対する正解・不正解が明らかな場合でも、自分の周囲の人々が不正解を選択すると、それに同調して自身も不正解の答えを選んでしまうという人間の傾向である。
自分の意見を変えたくなるような場面には、自分の意見を予め紙に書いておくと、自分の意見がブレず、周囲に流されにくくなります。
日頃から「書く」というアウトプットを意識し、自己洞察力を高め、自分自身の意見や考えを固めておきましょう。
余談ですが、自分が会議を仕切る立場なら、会議が終わる頃に最終意見を聞くのではなく、会議の最初に意見を紙に書き、提出してもらうことで、同調圧力のかかっていない回答がもらえるので、試してみてはいかがでしょうか?

1-2.自信を持つ
同調圧力に屈しないために、自信を持つようにしましょう。
自信がないと、他人の意見に流された方が楽だと判断してしまうからです。
自分に自信がない人は、いつも不安や緊張感でいっぱいで、その不安や緊張感を周囲に合わせることで、埋め合わせています。
しかし、周囲に同調したからといって、周囲の人はあなたに何があっても、責任を取ってくれるわけではありません。
「○○が△△って言ったから、△△にしたのに!」
といっても「そんなこと言ってないし!」と言われることもあるでしょう。
このように、自分の意見を持たず、他人の意見を鵜呑みにし続けることは、あなたを不幸に導くことにも繋がります。
他人の意見は参考程度にとどめて、最終的には自分で判断をするようにしましょう。
そのため、自信を持ち、確固たる信念を貫くことが大切なのです。

1-3.理解者を探す
あなたの意見を理解してくれる人を探すことで、同調圧力に屈しにくくなります。
他人と違う行動をすると、不安に陥りやすくなるのですが、1人でも理解者がいれば自信を持てることが、先ほど紹介した「アッシュの同調実験」で証明されているのです。
サクラ全員が正解を答えると、被験者も堂々と正解の選択肢を選んだ。しかし、サクラが不正解を答えると、被験者も不正解の選択肢を選ぶ傾向が確認された。実験の結果、全ての質問に正解を答えつづけた被験者は全体のおよそ25%で、残りの75%は不正解のサクラに一度でも同調してしまった。被験者がサクラに同調して不正解の選択肢を選ぶ確率は、約3分の1であったという。
「アッシュの同調実験」は「1人でも正解を言うサクラがいたら、被験者の正解率が上がる」という結果が出ました。
ということは、周囲と違う意見を持っていたとしても、同じ意見を持ち、理解してくれる人がたった1人でもいれば、自信を持てるきっかけになるのです。


1-4.自分を「キャラクター」化する
自分のキャラクターを固めることで、「軸」がブレにくくなり、同調圧力に屈しにくくなります。
「あいつはそういうキャラクターだから、周囲が何を言っても聞かないぞ」
という空気を作り出してしまうのです。
例えば、テレビに出ている「天然キャラ」「不思議キャラ」「ヤンキーキャラ」「ナルシストキャラ」など、このような人たちは、周囲にいじられてもキャラクターを貫き通しますよね?
ネットで「そのキャラクターは変」「あのキャラクターむかつく」と言われても、次にテレビで見たときに、まったく違うキャラクターで出てくる人は、そういないでしょう。
自分にも、そのような独自のキャラクターを印象付けることで「自分軸」を定められ、自分の意見をブレにくくさせます。
周囲もそのうち「あいつはそういうキャラなんだ」と理解を示してくれるでしょう。
しかし、テレビに出てくるような「天然キャラ」などを、そのまま会社に持ち出すのは、人間関係がこじれてしまう可能性があるので、ほどほどに。

1-5.同調した回数を数える
いきなり自分の性格を変えたり、言動を変えたりすることに抵抗がある人は、1日のうちの「同調した回数」を数えることから始めましょう。
「同調圧力に負けた」事実を客観視することで、今後自分がどうすべきなのかを対策できるからです。
やり方はいたってシンプルで、1日のうちに「同調圧力に負けた」と思った回数を正の字でメモするだけです。
1日のうちに自分がどのくらい無理をしたのかを数えることで
「今日は3回しか同調してない!」
「今日は10回も同調して、息苦しい1日だったな~」
と、見えてくるようになります。
数字として見えるようにしておくことで、同調してしまいそうなときに冷静に判断が下せるようになってくるのです。

同調圧力に屈しやすい人の5つの特徴!
ここまで「同調圧力に屈しない方法」を紹介してきました。
では、なぜ自分が「同調圧力に屈してしまう」のか理解していますでしょうか?
同調圧力に屈してしまう人の5つの特徴をまとめてみました。
- 自信がない
- こだわりがない
- 協調性が強すぎる
- いつも誰かと一緒にいる
- 嫌われたくないと思っている
あなたにも心当たりはあるでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
2-1.自信がない
同調圧力に屈しやすいのには、自分に自信がないことが考えられます。
自分に自信がなく、意見を述べることができないため、他人の意見に従って生きていった方が楽だし、それが正解だろうと思ってしまうのです。
自分の「芯」がないため、筋の通った意見や考えもなく、他人に流されやすい傾向にあります。


2-2.こだわりがない
同調圧力に屈しやすい人は、こだわりがないのかもしれません。
自分に「これだけは譲れない!」というものがないので「とりあえず周囲に合わせておこう」という考えにいたってしまいます。
例えば、ファッションにこだわりがない人なら「流行りの洋服をとりあえず着る」という人も多いでしょう。
「好きか嫌いか」「似合うか似合わないか」という意見よりも「流行りのファッションを着ておけば安心だ」という考えで洋服を選びがちです。
よく言えば「流行に敏感」なのですが、友達や恋人のランチで「なんでもいいよ」と言ったり、そういった場面が積み重なると「意思のない人」だと思われているかもしれません。


2-3.協調性が強すぎる
同調圧力に屈しやすい人は、協調性が強すぎるかもしれません。
協調性が強すぎるあまりに「服従心」に近い行動を取ってしまうからです。
協調性とは、「異なった環境や立場の人と、助け合ったり、譲り合ったり、協力できること」を指します。
協調性がある人は、どんな人とでも友好的になれるのですが、角が立たないように何に対しても「はい」と答えてしまうことが多いです。
器用に立ち回れるものの、その柔軟さのあまりに、自分の意思ではなく、周囲の意思で物事を判断してしまうため、同調圧力に屈しやすくなります。

2-4.いつも誰かと一緒にいる
同調圧力に屈しやすい人は、いつも誰かと一緒にいることが多いです。
自分一人では何もできないので、集団の中にいることで安心感を得ようとします。
集団に身を任せているので、自分の意見や言動は、自然と集団に合わせたものに変わっていき、同調圧力に屈しやすくなるのです。

2-5.嫌われたくないと思っている
同調圧力に屈しやすい人は、常に人から「嫌われたくない」と思っています。
間違った自分の意見や言動により、他人を傷つけたり、その場の雰囲気を壊したりすることに恐怖感を抱いているからです。
常に「今、私が○○がしたいと言ったら嫌われてしまう」などと考えているため、自分の意見を押し殺している人も多いのではないでしょうか?
嫌われることばかりを考え、周囲に気を遣うあまりに、自分の意見が言えなくなり、同調圧力に屈しやすくなってしまいます。

同調圧力をかける心理は「自己効力感」の現れ
同調圧力をかける人の心理を考えたことありますか?
実は「同調圧力」は「自己効力感」の現れなんです。
自己効力感とは「自分がある状況において、目標を達成できる可能性を認知すること」を指します。
「同調圧力」と聞くと、悪いイメージが先に出てきませんか?
実は「同調圧力」にはメリットもあるんです。
同調圧力が働くことで「他人に迷惑をかけないようにしよう」という緊張感が働き、
仕事に対する責任感やモチベーションが高まります。
また、お互いを気に掛けることで、重大なミスを防ぎ、作業の効率を上げられるメリットもあるのです。
しかし「他人に迷惑をかけないようにしよう」という意識が強くなりすぎると、そのメリットによって生まれる生産性やチームワークより「結果」を重視するようになります。
「ウィルスが流行している時はマスクをしよう!」という意識が強くなると「マスクをするのは当然だ」という風潮になってきますよね。
「マスクをするのは当然だ」という考えは「ウィルスを収束させる」という「結果」を重視するあまりに出てきた風潮です。
このように同調圧力が強くなりすぎると、周囲に強要、強制するような同調圧力が生まれてしまいます。
同調圧力をかける人は「正義」を後ろ盾にし、強要や強制といったような攻撃をすることで「自己効力感」を満たそうとしているのです。
同調圧力は、「かけられる」と敏感に反応するのですが、同調圧力を「かける」ときは、無意識なことが多く、「メイクは女性がするものだ」「力仕事は男がやるものだ」という「偏見」のようなものは、知らぬ間に同調圧力をかけているネタになりやすいので、気を付けましょう。

意外?同調圧力が強いのは日本だけではない!
よく「日本は同調圧力が強い」と聞きませんか?
しかし、とある調査によると、同調圧力が強いのは日本だけではないということが分かったのです。
そもそも日本がなぜ「同調圧力が強い」と言われるのでしょうか。
それは、日本人が「和」という、「穏やか」「仲良くする」といった他人との衝突を避ける考え方を大切にしているからです。
日本では「空気を読む」といった言葉も世間に定着していますよね。
そのため、周囲に対して気を配り、合わせることが「当たり前」になっています。
これらが日本が同調圧力が強いと言われる理由です。
日本は「集団主義」と言われていますが、逆に「個人主義」と言われているのはアメリカ。
意見の述べるときは「私」で、周囲の意見よりも自分の意見を大切にします。
対立を恐れることもないと言われていました。
しかし、日本・アメリカ・中国・韓国4カ国の高校生を対象とした「友達と合わせていないと心配になるかどうか」のアンケートでは、男女ともアメリカの高校生の方が「合わせていないと心配になる」と答えた人数が多かったのです。
参考:国立青少年教育振興機構「2018年高校生の心と体の健康に関する意識調査」
そもそも、同調行動とは、周りに同調したほうがメリットがある、または、リスクが少ないと考えればそうするという個人の損得勘定からだと解釈したほうがよいのです。言い換えれば、自分に得になるなら「みんなと一緒にする」だけのことなのです。
「同調することでメリットが得られるなら同調する」という意見に、国境はないのでしょう。
まとめ
自分が言いたいこと、やりたいことが制限されてしまう「同調圧力」。
この同調圧力に「対抗してやりたい!」と思う瞬間は、誰にでもありますよね。
そんな時は、この記事で紹介した「同調圧力に屈しない人になる方法」を試してみてください。
同調圧力に対抗できるようになると、自分の意見を貫けるようになるので、定時退社や有給取得、飲み会を断るときにも抵抗感がなくなりますよ。
同調圧力に屈しない精神を身に付けて、窮屈な日常から脱出しましょう!