「自分のことがわからない」というのは辛いことです。
私も同じ悩みを抱えて、うつ病になった経験もあるので、よくわかります。
自分がない。
そう感じる人は、この先の人生を充実させることはできないのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
ここでは、「つい自分よりも他人を優先してしまう」とお悩みの方に向けて、自分軸で生きるためのヒントをお届けします。
読み終えたときに、心が少しでも軽くなっていますように。
自分がない辛い現状から抜け出すためには

自分のことがわからないという状態は、さまざまな場面で辛さ、苦しさを感じるでしょう。
日本では人生に満足感を得ている人がとても少ない、という統計があります。
20代〜79歳までの約2000名を対象にしたアンケートでは、「人生に満足している」と回答した人は32.0%。
特に40代の男女が著しく低い数値を記録しています。

自分がないと感じる人は、どこか人生にも満足感を得られていないのではないでしょうか。
ここで、ぜひ自分らしく生きている姿を想像してみてください。
ワクワクしますか?それとも・・・よくわからない、ですか?
大丈夫。少しずつ、始めていきましょう。
辛い・・・「自分がない」とはどんな状態?

みなさんにとって、自分がない、とはどのような状態でしょうか。
言い替えてみると、自分を信じることができていない=自信がない。
つまり自分軸がなく、他人軸で生きてしまっている状態、とも言えます。
ここでは、自分がない状態とはどのようなことなのか、より具体的に一緒に確認していきましょう。
会社員へのアンケートで「自信がない」と思っている人は45%というデータがあります。
働き盛りの30代〜50代でも自信を持つことができないのは社会的な問題も何かあるのではないかとも考えられますね。

2-1.他人の意見に流される
「あの曲、いいよね!」
「この料理の方が美味しい!」
「それは、やめた方がいいよ」
自分がない人は、自分の意見よりも、他人の意見の方が正しく感じてしまいます。
何かを選ぶときは、他人の意見や選択をついつい優先しがちです。
みなさんは、よくこんな回答をしていませんか?
「私はどっちでもいいよ」
「何でもいいよ」
よく言えば相手を尊重する優しさとも言えるかもしれませんが、自分の意見を抑え込み続けていれば自分がない状態をさらに加速させていくことになります。


2-2.やりたいことがない
自分がない人は、やりたいことがないために、毎日をなんとなく過ごしてしまいがちです。
将来の夢や目標がよくわからない、という方もいるでしょう。
実は、CCCマーケティングカンパニーの統計によると、「将来やりたいことが決まっている」と回答する若者は6割いる、という結果が出ています。

引用:「若者のライフスタイルに関するアンケート調査」CCCマーケティングカンパニー調べ
自分がないと感じている人は、「そんなにいるんだ!自分はダメだ・・・」と焦るかもしれません。
現代は、やりたいことが自由にできる時代となり、「やりたいことがないこと=悪」と捉えやすくなっています。
逆を言えば、100人いれば40人は「やりたいことがわからない」のです。
「同じような仲間はいる」と前向きに捉えて、悲観しないようにしましょう。
やりたいことを探す前にやるべきことがあります。
それはこれからの章で解説していきます。

2-3.好き嫌いなど自分の嗜好や感情が掴めない
自分がない人は、そもそも何が好きで何が嫌いなのか、どんなことが楽しいのか、など自分の感情・感性がよくわかっていません。
なので、食事をしたり本を読んだりしても、感想を述べたりするのが苦手です。
自分の好みや感情がわからないままでいると、意見を述べたり、決断がしづらくなります。
ビジネスの場面であれば情報を集めて論理的に判断ができるかもしれませんが、プライベートでは自由に生きたいですよね。
さらに、好きなことに没頭する人が眩しく見えて、自分のことがわからない現状に劣等感を感じてしまう。
そうすると、さらに自ら負のループを生み出してしまいます。

2-4.責任のある立場を避ける
仕事や地域のコミュニティ、趣味サークルなどで責任あるポジションに立つと、さまざまな場面で決断や提案が必要になってきます。
自分がない人は、決断ができないために、責任を背負うポジションを避けるようになります。
「どうせ自分にはできないだろう」という決めつけている面もあるでしょう。
逆に、責任を背負ってこなかったからこそ、自分軸を育てる機会を失ってしまっているとも言えます。
責任を取って決断することは、成功や失敗の体験ができるということでもあります。
成功や失敗はどちらも成長に繋がる大切な要素です。
この経験が、人生にとても大きな指針を作ってくれるのです。


自分がない人は他人を優先してどんどん辛くなる

なぜ自分がないという状態に陥ってしまったのでしょうか?
2500人以上ものカウンセリングを行ってきた心理カウンセラーの積田美也子さんは、著書「つい自分を後回しにしてしまうが変わる本」の中で「自分より他人を優先してしまうのは思考の癖」だと指摘しています。
自分がないのは、これまでの人生で根付いた他人を優先する癖が大きな原因。
では、そもそもその癖はどのようにして生まれたのでしょうか?
3-1.低すぎる自己肯定感
「どうせ自分なんか嫌われてしまう」
「自分の考えなんてたいしたものじゃない」
自分がない人は、自己肯定感が低く、他人から嫌われることを極度に恐れるため、同調したり、周りと同じ行動を取るようになります。
「学ぶ」という言葉は誰かを真似る(まねぶ)、ということからきています。
尊敬する人を真似することは、多くの学びが得られて、大きな成長に繋がります。
ただ、それは自分が何かを得て成長するための前向きな行動であった場合に限ります。
目的もなくただなんとなく周囲と同じ行動を取れば、それがどんどんと癖になり、自分を失っていくでしょう。
「どうせ自分は嫌われてしまう」「どうせ自分の意見なんて」など自己肯定感が低すぎるため。

3-2.幼少期の教育(失敗経験が少ない)
自分がない理由として、幼い頃の教育環境も大きな原因と考えられます。
例えば小さい頃、親や祖母などが過保護で、本来自分がやるべきことも全てやってもらっていると、経験自体が少なくなり、自分の軸を育てていくことができません。
また、ミスをした経験も少ないので指摘や説教を受ける機会もあまりありません。
周囲からの指摘は、社会を生きる上で大切なひとつの指標でもあるのです。
過保護によって自分でやるべきことをやってこなかったため、自分でできることが少ない。

3-3.目標の達成や成功体験が少ない
目標を持つことは行動の原動力になり、達成したときの喜びは、生きる楽しさを教えてくれたり、自信に繋がっていきます。
しかし、やりたいことがないと、目標を立てる経験すら培うことができず、達成・成功体験を積むことができません。
達成する喜びを知らないでいると、本気で物事に取り組むことも無くなっていきます。
そうなるとやりがいや充実感と無縁になり、本気で動いている人に対して劣等感を抱いたり、積極的に動いている他人を優先するようになります。
目標達成の経験が少ないため、強い劣等感を抱いてしまい、かつ自信がない。

自分軸を手に入れて自分がない辛さから抜け出そう!

他人を優先してしまう癖を直していくこと。
それが大切だと思っても、具体的にどう動いていけばいいかわかりませんよね。
ここでは、実際にどう行動していけばよいのかを紹介していきます。
4-1.現状を受け入れる
何よりも一番最初に必要なことは、今の自分を受け入れることです。
そのために効果的な作業として、簡単な方法を紹介します。
それは、自分にできることを書き出す、というものです。
「自分にできることを書き出す」
- 朝6時に起きることができる
- 卵焼きが作れる
- PCでブラインドタッチができる
- 腕立て伏せが20回できる
・・・etc
「他人と比べてたいしたことない」と思えることも、どんどん挙げていきましょう。
漠然と「自分は何もできない」「自分がない」と思っていると、自分にできることを見失いがちです。
まずはそこにブレーキをかけて、現状の自分を把握することが大切です。
この作業は、自分を肯定的に見ていくための練習です。ぜひやってみてください。

4-2.自己効力感を高める
「自分がない」と思っている人は、自己肯定感が低いことに加えて、「自己効力感」も低い可能性があります。
『自己効力感と自己肯定感の違いとは?』
▼「自己効力感」(self-efficacy)
心理学用語の一つで(〜省略〜)「自分は対処できる」と自分に対して確信、自信といったイメージが持てること。カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した言葉。
引用:Weblio辞書
▼「自己肯定感」
自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。
自己否定の感情と対をなす感情とされる。
引用:Weblio辞書
自己肯定感は良いことも悪いことも含めて「自分のままでいいんだ」と存在自体を認めていくことで高まっていきます。
両方高いことに越したことはありませんが、「なかなか自分を受け入れられない」という人は、能力面からのアプローチによって改善されることがあるかもしれません。
具体的には、先ほど書き出した「できること」から少しステップアップするような行動を取ってみると良いでしょう。
これも、他人から見て小さなことで良いのです。大切なのは、自分軸を作っていくことです。
「できることを伸ばす」
例)
- 朝6時に起きている→5時半に起きて本を読む
- 卵焼きが作れる→自分流卵焼きを考えてみる
- ブラインドタッチができる→ブログを始めてみる
- 腕立て20回できる→25回できるようになる
・・・etc


4-3.新しい価値観を手に入れる
思考の癖によって、凝り固まってしまった自分の行動。
それを覆していくためにも、今までと違った価値観、観点を取り入れていくことをおすすめします。
具体的な方法として、リフレーミングが良いでしょう。
▼リフレーミング(reframing)
心理学で、ある事柄を、今までとは別の視点で見直すこと。
引用:Weblio辞書
「自分がない」という状態もリフレーミングという手法を用いれば、自分に対する捉え方を書き換えることができます。
「リフレーミングで価値観を書き換える」
- 周りに流されやすい→適用力が高い
- 好きなことがわからない→オールラウンダーになれる
- やりたいことがない→毎日ゆっくり過ごせる
- 自分がない→今は真っさら。これからが楽しみ!
・・・etc

4-4.意見を主張する練習をする
自分軸を手に入れるためには、誰かに自分の考えや希望を伝えていく練習も必要です。
これまで、周囲の意見を尊重してきたあなたは、意見や要望を伝える経験値がとても少ないはずです。
自分軸を確固たるものにしていくためにも、勇気を出して練習していきましょう。
最初は仲のいい友人や家族、同僚などで良いでしょう。
また、SNSを活用しても良いかもしれません。同じような悩みを持った仲間を見つけて、お互いに希望を主張しあうような場を作ることも可能です。
「自分がなくて辛い」精神科に6年通い続けた筆者の体験談

私自身、24歳〜30歳までの間、精神科やカウンセリングに通い続ける日々でした。
自分の感覚がわからず、何が好きで、何が嫌いなのかがわからぬまま生きていたことがとても辛かったです。
今では、「昔うつ病だった」と言っても信じられないぐらいには立ち直りました。
「自分がなくて辛い」という悩みに対して、行ったことは以下の2つです。
全てが正しいとは思いませんが、何かひとつでも参考になれば幸いです。
5-1.目の前のことに全力集中
やりたいことが特になかった私は、定職に就くことができませんでした。
20代の頃は毎年転職しているような状況でした。
「このままでは経験もスキルも得られないまま、生きていくことになる。」
そう感じていた私は30歳のときに決断をしました。
「とりあえず自分が関わっていることに全力でやってみよう」
そのときに就いていた仕事は飲食業です。
特に自分のやりたいことという実感はありませんでしたが、とにかくがむしゃらに働いてみました。
その結果、会社には9年在籍し、結果的に、今は目標も見つかり、実現に向かって歩んでいます。
やりたいこと何か悩むのをやめて目の前のことに全力投球した。
5-2.モヤっとしていてもいいから感想を決める
自分の感覚が掴めないでいたせいか、20代の頃は、好きな料理や音楽など、コレ!と言えるものがありませんでした。
学生の頃は、美術で何を描いていいかわからず、白紙で出したこともあります。
苦しい時期を過ごしながら、自分の感覚を知りたい、取り戻したい、という思いが強くなっていきました。
そこで、まずは感じたことを認めていこうと決めました。
料理を食べて「ああ、今自分はどう思っているのかなぁ」
音楽を聴いては「これ、好きかなぁ」
自分の中を覗き込むようになりました。
それでも、最初は正直よくわかりませんでした。
でも、それも感想のひとつだと思うようにしました。
飲食業で働いているとプロの料理人やソムリエなど、非常に繊細な味もしっかり捉えて表現する人が多かったです。
なので、「こんな自分ではダメだ」と落ち込んだときもありましたが、「うまい」「まずい」など、シンプルな感想も認めるようにしました。
すると、周りの人と料理やお酒について語れるようになってきたのです。自分にとってはこれがとても嬉しい変化でした。
大雑把な感情、感想も受け入れてメモするなどして自分を受け入れるようにした。
【まとめ】「自分がない」は人生のスタートライン!

もしかしたら、自分がないままでも、幸せな人生を送ることはできるのかもしれません。
ただ、ここをご覧になった方は、きっと辛い現状をどうにかしたいと思っている方々だと思います。
大切なことは、自分にあった方法を見つけて、実践していくことです。あなたと同じ人は、1人もいません。
私の体験談も少し記載しましたが、「生きている」という実感を得られたのは30代半ば頃からです。まだまだこれからだと思っています。
遅すぎることなんてありません。きっと、今よりも良い毎日を過ごせるようになるはずです。
